寮生活の地獄。暗黒の高校生時代(2)
続きです。
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私は、北海道の高校に通っていました。
普通、高校といえば実家から通える距離のものを選ぶと思いますが、この高校は特殊な高校でした。
北海道だけでなく、全国から生徒を募集していたのです。
「森林に囲まれた静かな環境で、好きなだけ美術を学べる」
私はこの謳い文句に惹かれて、この高校への進学を決めました。
悪夢の始まりでした。
この高校は、小さな村に建てられた学校です。
この村は、全国から集まった高校生が人口の大半をしめ、コンビニは一軒のみ。
電車の本数も少なく、ビルの並ぶ街までは、片道2時間以上はかかります。
カラオケやクレープ屋、ゲームセンターなどの、高校生が行きそうな娯楽施設はありません。
つまり、ここに通う高校生は、地元がこの村でもない限り、なかなか実家には帰れません。
寮と学校を往復する日々。
学校での人間関係は、寮でも続きます。
友達がいるなら、ずっと修学旅行のような気分で、とても楽しいことでしょう。
ただし、もしも学校での人間関係がうまくいかなかったら。
もしも、学校でいじめられていたら。
この生活は、地獄へと変わります。
容易には逃げ出せない環境。
気晴らしの無い村。
出かければ誰かに見られ、寮に居場所は無い。
食事時も、入浴も、清掃も、先輩やクラスメイトと一緒。
くつろげるスペースは、カーテンを引けるベッドの中だけ。
他の場所は、他の生徒の目があります。
1人1室ならよかったのですが、そうはいかないのが寮生活。
「ルームメイト」は2〜3人いて、部屋にはいつもだいたい、自分の他に誰かがいる。
自由時間には、ルームメイトの友達が遊びにやってくる。
笑い声が聞こえる。噂話も、悪口も聞こえる。
友達がいれば、よかったのですが。
実家に帰れるのは、夏休みなどの長期休暇の間だけ。
学校が始まれば、寮へと帰らなければならない。
それがとてもとても怖くて、辛くて、悲しかった。
長期休暇だけが希望だった。
実家に帰って、もう二度と寮になんて戻りたくなかった。
こう書くと大げさかもしれませんが、当時の私は、この状況を「生き地獄」と捉えていました。
いっそのこと生きるのをやめられれば、どれだけ楽かと。
寮を抜け出して、勝手に実家に帰れたら、どれほどよかったか。
なぜこんなことになったのかは、私にはよく分かりません。
「お弁当一緒に食べよう」と言われた時に、気分じゃなかったから断った。
そのせいなんでしょうか。
新入生歓迎会で、面白いネタを披露して認められなかったからでしょうか。
私は入学したての頃、「学校のクラス」というものに、なかなか慣れることができないでいました。
人見知りで、周囲の人たちを警戒していたからです。
ようやく少し慣れた頃には、周囲のクラスメイトはもう、友達ができていました。
私は「高校デビュー」というやつに、ものの見事に失敗したのです。
元々1人でいることには慣れていましたし、別にそれでもいいかと思っていました。
しかし一部の女子達は、私に心無い言葉を吐きかけてきました。
毎日、毎日。容赦無く。
彼女らにそのつもりはなかったのかもしれません。
ただの冗談だと。お前のことを話していたわけではない、と。
さて、ここでクイズです。
ここに1匹の犬がいます。
この犬に、毎日少量の毒を混ぜた餌を与えたら、犬はどうなるでしょうか。
毎日この犬を死なない程度にいじめたら、どうなるでしょうか。
犬はいつか、動かなくなってしまうでしょう。
いじめる相手を警戒し、その姿を見ただけで、怯えてしまうことでしょう。
私にも、同じことが起こりました。
寮生活ですから、逃げ場はありません。
彼女らとは学校でも、寮でも会います。
食事をする時にも、風呂に入る時にも。
そうして私は、心を病みました。
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明日に続きます。
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